交通事故の原因は、必ずしも加害者のみにあるとは限りません。
場合によっては被害者側にも一定の交通事故の過失がある場合があります。
被害者にも事故の発生や損害の拡大に落ち度がある場合、損害賠償の金額を減額するとことを過失相殺といいます。

そして、損害賠償額が「どの程度、何パーセント減額されるか」という割合のことを、過失割合といいます。

例えば、信号機の設置されている横断歩道を歩行者が青色信号で横断を開始し、途中で黄色信号に、更に赤信号に変わった時点で、青色信号で進行してきた自動車と衝突し交通事故が発生した場合、歩行者の過失割合は20%になります(別冊判例タイムズ38号73頁参照)。

保険会社は過失相殺においても過去の裁判例を元に作成された基本の過失割合を利用し、被害者側の過失を主張して賠償金額を減額しようとしてきます。

もっとも、交通事故は個別性があるもので必ずしも保険会社の主張する基本の過失割合が正しいとは限りません。
当事務所にご相談をして頂きました事例では、下記のようなケースがありました。

信号が青色で交差点を通行したと主張する依頼者と、赤だったと主張する加害者側の主張が対立する事例でした。
双方の主張の隔たりが大きいので、訴訟提起しました。

訴訟の結果、当方の主張が認められ、依頼者の主張通り、青信号で交差点を通行したことが裁判所で認定され、裁判官から勝訴的和解案が提示されました。
その結果、依頼者の納得のいく賠償額が得られました。

当事務所では、被害者側の立場で正しい過失割合を計算し、適正な損害賠償を受け取ることができるようにサポートしております。

保険会社が提示した過失割合について適正な過失割合になっているか判断に迷われる場合には、お気軽に当事務所までご相談下さい。

過失割合は誰がどうやって決める?

判例をベースに、交渉で決める

過失割合は示談の段階では過去の裁判例に基づいて作成された「別冊判例タイムズ」を参考にして交渉して決めます。
各道路状況において、基本過失割合が決まっていて、その後に修正要素によって修正します。

また、過去の裁判例により、似ている事例を探し出し、過失割合を決めることもあります。
主に警察の作成する実況見分調書が重要な資料となります。

 

紛争処理センターでの解決

示談交渉で解決しなかった場合、紛争処理センターでの解決等を考える可能性があります。
その場合、実況見分調書をもとに、過去の裁判例などを参考にしながら、嘱託弁護士が過失割合を決めます。

ここで、紛争処理センターでのあっ旋手続きにおいても過失割合が決まらなかったときは、審査に移行します。
その場合、審査員である裁判官のOBが本人から聞き取りをして、実況見分調書、過去の裁判例などを参考にして過失割合を決めます。

 

最終的には裁判官が過失割合を決める

上記は裁判手続きによらない場合の過失割合の決まり方ですが、最終的に過失割合を決めるのは裁判官です。
裁判手続きにおいては、実況見分調書をもとに双方が過失割合の主張を行い、過去の裁判例を参考にして裁判官が過失割合を決めます。

多くの場合、双方の過失割合の主張が終わったのちに、当事者が陳述著を提出します。
この段階で裁判官がその時点での心証をもとに和解案を出す場合が多いです。

そこで、過失割合の心証も開示されます。

 

和解が成立しなかった場合

和解が成立しなかった場合には、証人尋問を行います。
双方が裁判所で尋問を行います。
尋問手続きは主尋問では依頼した弁護士から質問され、反対尋問では相手方弁護士から質問されることになります。

尋問が終わったのちに再度和解の話になったり、判決になったりします。
判決になった場合、そこで過失についても判断されることになります。

この第1審での判断に不服がある場合は控訴の手続きとなります。
その場合、多くの場合高等裁判所の裁判官が過失割合を決定します。

このように過失割合は最終的には裁判官が決定するので、過去の裁判例などを参考にして当該事案では裁判になったらどの程度の過失割合の判決になるのかを予測しながら交渉することになります。